札幌高等裁判所 昭和28年(う)472号 判決
弁護人及び被告人は原判決は原判示一乃至九の事実の常習累犯窃盗と認定しながら併合罪として刑法第四十五条前段第四十七条を適用し処断しているのは法令の適用を誤つたものであるといい、更に弁護人は原判決が常習累犯窃盗と認定しながら前科として二犯を判示して刑法第五十六条第五十七条第五十九条を適用しているのは理由のくいちがいばかりでなくこの点においても法令の適用を誤つたものであるというのでこの点につき調査するに原判決によると、原判示一乃至九の所為を盗犯等の防止及処分に関する法律第三条第二条刑法第二百三十五条に該当するものとし累犯となるべき前科として、被告人は昭和二十一年七月十三日釧路区裁判所において窃盗罪により懲役三年(確定同日)昭和二十五年二月二十五日釧路地方裁判所において窃盗罪により懲役三年(確定同年三月九日)に処せられ各刑の執行を受け終つたものである(後者については昭和二十七年四月二十八日政令第百十八号減刑令によりその刑を懲役二年三月に減刑)と認定し刑法第五十六条第一項、第五十七条、第五十九条、第十四条により累犯加重をして更に同法第四十五条前段の併合罪として同法第四十七条本文第十条第十四条を適用していることが明かである。元来右法律第三条の罪は常習として同条所定の行為をなすことによつて成立する。常習犯即ち集合的一罪であつて、これを該当する犯人であつてその罪が刑法第五十六条の要件を具備する場合はこれに基き累犯加重をなすべきてあつて(同趣旨大審院昭和十四年十一月七月日判決)原判決が被告人に対し原判示の前科を認定し刑法第五十六条第一項第五十七条第五十九条第十四条を適用して累犯加重をした点は正当であるからこの点の論旨は理由はないけれども、原判示の九箇の行為を常習犯と認定する以上数罪たる併合罪を構成するものではない。従つて原判決が常習犯と認定しながら刑法第四十五条前段の併合罪として同法第四十七条第十条を適用し併合加重をしているのは正しく法令の適用を誤つたものでありこの誤は判決に影響を及ぼすことが明かであるから原判決はこの点において破棄を免れない。各論旨はこの点において理由がある。